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シンブルのおはなし

シンブルのインタビュー 斉藤謠子の話している様子(林) 今日はシンブルのお話を伺いたいと思います。実は、私がこのこだわりのお話の企画したのは、先生からシンブルのお話を伺いたかったからなんです。
私がパッチワークを独学で始めた頃は、ピースワークをしてトップを作るところまではお裁縫なので何とか出来るのですが、キルティングというのは、どこでも習った事がないので、全くやり方が分からなかったんです。本にはシンブルというキャップ式の指貫を使うとあったので、色々試してみました。多分、その当時の手芸店にあったシンブルはすべて試してみたと思います。
それでもやっぱりうまくいかないので、思い切ってお教室に通うことにしたのですが、何とかシンブルを使えるようになりたいと思いながらも、結局使っていない方がたくさんいらっしゃると思うんです。
そして、シンブルが使えるようになると、もっと綺麗に入れるコツはないかと欲がでてきます。先生の作品はキルティングが実に細かくて、綺麗なのですが、先生はシンブルに対してどのようなこだわりをお持ちなのでしょうか。
まずは、基本的な事からになりますが、どの指にどのようなシンブルをはめるのでしょうか。

指の保護にシンブルは欠かせません

(斉藤) そうね、いろいろなやり方をする先生がいらっしゃると思うんだけど、私はランニング式と言う方法なんです。
まずは、針を押す指にはめるものから説明しましょうね。
メタルシンブルの上に皮のシンブルを私は右利きなので、針を押す右手の中指に針を当てて、親指と人差し指で針を支えて針を動かしていきます。なので、まずは何といっても針を当てている右手の中指を保護する物が必要なんです。
私も最初は皮の指貫だけをしてやっていたんだけれども、皮は二重になっているものでも、絶対に穴が開いて、針が突き抜けて痛い思いをするので、皮だけでは駄目なんだという事に気付いたんです。
そこでトップの丸いタイプのメタルシンブル(先丸シンブル)を入れて、そしてさらに皮のシンブル(リトルシンブル)をかぶせる。そうすると、どんな事があっても指に刺さってくる事はないから、安心して力を入れてキルティングをする事ができるんです。

(林) 先が丸いというのは、何か意味があるのでしょうか。

(斉藤) 丸い方が指に馴染みが良いので、長時間の作業が楽なんです。

(林) 右手には他に何かはめた方が良いですか。

右手 ラバーシンブル(斉藤) そうね。キルト針が短いので、それをしっかり掴むために、人差し指にラバータイプのシンブルをはめます。このラバーシンブルは、少し前まではブルーの薄いタイプしかなかったんだけれど、今はいろんな種類の物が出ているので、ご自分の指にあった物をすると良いでしょうね。これは針を抜く為の役割です。

(林) 右手はこれで準備完了ですね。では針を受ける左手のシンブルはどのような物が良いでしょう。

これが私のフル装備

左右の手のシンブルをはめた写真(斉藤) 針を受ける方のシンブルだけど、何もはめないで素手でしている方がいらっしゃるんだけど、私もパッチワークを始めた頃は、ちゃんと下に針が通っているというのを感じつつ、キルティングをいれていたから、その気持ちはとてもよく分かるのね。
でも、それでは引き続きキルティングを入れていく事が出来ないから、メタルシンブルをはめます。左手用のシンブルもいろいろ試した結果、頭の角ばったタイプのシンブルで、角のところに針を当ててキルティングをいれると細かい針目で刺していくことが出来ると分かったので、角ばったタイプの物を選んで使います。
そして、私は、さらに親指にリングカッターをはめます。

(林) フル装備ですね(笑)

(斉藤) そう、これが私のフル装備(笑)そしてね、キルティングをずっと入れていくと、針は何ともないのに、ひっかかるような感じになってくるんです。覗いて見ると、針を受ける方のシンブルに穴が開いている。角を削るような動きを繰り返しますからね。

(林) めくれ上がってくるような感じになります。

シンブルのお話(斉藤) 穴が開くとやりにくいので、シンブルを動かして穴が無いところで受けてキルティングを入れてる事を繰り返していると、最後にはどこで針を受けたらいいの?って言うくらい穴だらけになります。
私が大きなベットカバーの一枚を作るのに、このメタルシンブルを4つか5つ位は使うわね。それくらい指を痛めているわけだから、是非というか、絶対シンブルを使っていただきたいんです。どの方にお話しても、シンブルなんて絶対に使えないって言うんだけれども、それは最初は誰でもそうなんです。もう慣れていただくしかないわけです。

(林) そうですね。先生も、最初は素手でされていたんですか?

受け手用シンブルのはなし(斉藤) そうよ。だから、指が痛くって、粉が吹いたみたいになっちゃって。私は人差し指で受けるんだけど、人差し指が使えなくなると中指にして、中指がだめになると、今度は爪で受けて、両方の爪がだめになるとしばらくキルティングは入れられないわ。って言う事をしていました。

(林) 先生でもそうなんですね、ちょっと安心しました(笑)

(斉藤) そうなんです。皆さんと同じ。それで、これはもう、シンブルをはめるしかないって思ったんです。布と布の間にキルト芯をはさんで、いわゆる三層にした状態の物を準備して、まず指貫を全部はめて、朝から晩まで練習してもらえれば、どなたも絶対使えるようになります。使っているうちに指に馴染んでくるから。そしたらもうしめたもの。

(林) 最初は違和感があって、とても慣れるのに時間がかかりました。どこに針を持っているのかも分からない感じですし。

(斉藤) 誰だってね、最初は使えるわけが無いの。お店の人に聞いて、キルティングに使うシンブルはこれですよって言われたところで、絶対に使えないから、練習するしかないんです。

(林) 私も本当に苦労しました。先生がおっしゃるように三層の物を準備して、絶対にシンブルをはずさないぞと思って、ただひたすらに練習しました。キルティングが出来なければ、パッチワークは完成しませんから。意地になって練習したんです。針が上に上がるタイミングさえ掴めれば、誰でも使えるようになると思います。最初は受ける方のシンブルをフープの下で動かす度に、コロンコロンと床に落ちて転がってしまったりして(笑)

(斉藤) そうね。自分の指にあったサイズの物を選ぶと言う事も大事ですね。メタルシンブル場合は、キルト芯を小さく切ったものを中に詰めて、サイズの調整をすると良いですね。そうすると爪に馴染んでしっくりくるんです。

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